聞き取り調査

日本犬や柴犬に詳しい方や地元の方々に「石州犬」や「中村鶴吉さん」についてご存知かどうか、当時のお話を直接お伺いしています。実際にお話をお伺いした方々の中から、写真やお名前の掲載をご許可いただいた方々のみここではご紹介させていただきます。


柳尾敦男さん

日本犬保存会島根支部 支部長 

日本犬保存会にて、長く審査員を務めておられ、自らも柴犬の繁殖を行なっておられます。島根県では、一番柴犬に詳しい方です。

 

訪問日:2017年5月6日(日)

場所:柳尾敦男さん方(島根県益田市)

出席:柳尾さん、柳井さん、柳木さん3名

担当:ごま・ハチ・センパイ3名

石州犬について

●知っています。見たこともあります。当時の石見犬(石州犬)は、今の柴犬よりも精悍さがありました。気魄十分でした。

●昭和30年頃、全国から益田市役所に「石見犬が欲しい」「石見犬が欲しい」という声が殺到しましたが、既に純粋な石見犬は少なかったのではないでしょうか。

●石見犬が減ったのは戦時中に食糧難で犬を殺して食べたから、それが一番の原因ではないでしょうか。

●石見犬は、荷引き犬でなく猟犬です。猟性がかなり高かった。例えば、柿の木に狸が登ったら、狸が落ちるまで待っている。

●石号の親犬の「久原」は、名前ではなく「地名」です。久原というところがあるので、そこの産出でしょう。

 

【中村鶴吉さんについて】

●知りません。色々当たったのですが…。引き続き探してみましょう。

●東京にどんどん石見犬を送ったことは結構なのですが、いい犬をフィードバックしていないですね。いい犬を益田の地に残そうとしなかったのが残念。

●柴犬にローカル色を残しておけば良かった。

 

【山陰柴犬について】

●浜田市あたりの石見犬が、かなり鳥取の尾崎さんのところに行っています。

●今の山陰柴犬にも、石州犬の裏白という名残は残っています。

●何より、鳥取の皆さんの「山陰柴を一生懸命、保存していこう!」と言う気概は大したものです。


澄川昇さん

元石見犬保存会理事。当時は、石見犬展覧会の審査員も務める。

自らも石見犬を繁殖し、現在も石見犬の流れもひく柴犬を飼育されている。85歳。益田市在住。

 

訪問日:2017年5月21日(日)

場 所:澄川昇さん方(島根県益田市)

 

【石州犬について】

●昭和40年頃に、全国から石見犬(石州犬)の問い合わせが多くあり、お金になるからと繁殖し、販売する人もいました。

●私は犬を売買することに抵抗があったため、その後、石見犬保存会からは退きました。

●石見犬は高く売れましたよ。当時で、牛一頭の値段で売れるということで、繁殖に力を入れていた人もいます。(牛一頭といえば今でいうと60万から100万円くらい)

●私は、猟をしていましたので、石見犬を猟に連れ出しました。石見犬は、猟性が高く実に賢い犬です。

 

【中村鶴吉さんについて】

●中村鶴吉さんの名前はわかりませんが、そういう方が昔いたということは、聞いたことがありますね。そうそう、歯医者さんだったようですね。益田市内の当時歯科医だった◯◯先生と繋がりがあるかもしれません。

●ただ、昭和の初めといえば、私ですら生まれた頃なので詳しいことはわかりません(笑)

●中村さんのおかげで、石見の犬が当時、世に広まり、今の柴犬の祖犬となったのですから、郷土の誇りです。感謝しています。


長尾節二さん

尾崎哲さん

尾崎千鶴さん

 

訪問日:2017年6月4日(日)

場 所:尾崎家住宅(鳥取県湯梨浜町)

※国指定重要文化財

 

山陰柴犬保存会の主催する「山陰柴犬勉強会」に参加し、三人の方々のお話を伺いました。

ただ、勉強会が主であったため、立ち話的なお話しかできず、また別の日に改めてお伺いする事といたしました。

内容につきましては、その時に合わせてご報告致します。

 


下山博之さん

「石号」の繁殖者の下山信市さんのお孫さん。益田市在住。

 

 

訪問日:2017年7月29日(土)

 

場 所:下山博之さん方(島根県益田市)

 

今回お伺いしたのは、下山さんのお宅です。

実は、書籍を色々と調べるうちに、石号について

登録者・中村鶴吉(東京)

繁殖者・下山信市(島根)

という記述を見つけました。

下山さんて誰??そんな人がいたとは!

と、もしかしたら下山さんのご子孫が益田市にいらっしゃるかもと、下山さん探しを始めました。

それから2ヶ月ほど、日本犬保存会島根支部長の柳尾さんの御尽力で、お孫さんの存在がわかり、この日ようやくお会いすることができました!感動的な記念すべき日です。

 

【「石号」について】

●昔、賢い犬が家にいたとは、おばあさんに聞いたことがありますが、その犬の名前も、その犬が「柴犬の祖犬」であることも、知りませんでした。

●そういえば、前に知り合いの方が書いた文章の中に、ちらっとうちの犬のことが書かれていて、「柴犬の祖である」とか。にわかには信じられなくて、どういうことなんだろうとは、思ったことはありますが、まさか本当だったとは!!

●下山信市は、確かに私の父の父、おじいさんですが、昭和11年に36歳で亡くなっています。ですから、その後、自分の家から出た犬が、柴犬の祖犬になったなんて、知る由もありません。

●このお話を聞いて、早速、御墓参りをしました。

●自分のおじいさんが80年以上も前に飼っていた犬について、こうやって訪ねてこられる方がいるなんて、本当に不思議です。

●このことを知って、本当に感動しました。先祖に感謝ですね。

 

と、お話ししてくださいました。

なんとここには、当時石号がいた頃のお宅が、そのまま残されています。

柴犬の聖地とも言える素晴らしいロケーションですので、ぜひご覧ください。

 

【柴犬の聖地!?石号の里を発見!!】